生活習慣病への思い
生活習慣病の治療に力を入れるようになったきっかけは?
やすい山ノ内クリニックを開設する前、私は済生会京都府病院や京都府立医科大学で循環器科医師として勤務していて、当院でも一般内科だけでなく循環器内科を診ておりますが、生活習慣病は循環器疾患の原因となることが多いのです。
そのため、より質の高い循環器内科の診療を行うために、生活習慣病の治療にも力を入れて取り組むようになりました。
さらに言うと、生活習慣病を改善・予防することは、循環器系疾患の改善・予防にも繋がります。
であれば、“内科医として生活習慣病の治療に力を入れて取り組むことは当然”というのが私の考えです。
皆様、どのようなきっかけで受診されていますか?
健康診断で血糖値や血圧などの項目で異常を指摘され、心配になられてお越しになるというケースが多いです。
ただ、なかには健康診断を受けただけで満足されて、あまり結果に目を向けられない方もおられるので、健診で異常を指摘された時にはきちんと通院して適切な治療を受けていただきたいと思います。
生活習慣の改善のために患者様へ
どのようなアドバイスをされていますか?
生活習慣の改善で一番大事なのは食生活の改善で、自己流で何となくやってもなかなか効果は得られにくく、やはり専門家からアドバイスを受け、意識を変えて取り組むことが大事だと思います。
ただし、いきなり無理なハードルを設定したりはしません。
それでは、なかなかモチベーションが維持できないですからね。
まずは減塩やカロリー制限などのポイントを押さえたアドバイスをして、少しずつその他の生活習慣の改善にも取り組んでいただくようにしています。
それでも、なかなか改善できない方もおられるのでは?
その方のモチベーションや性格に合わせて改善方法をご提案して、ゆっくりと治療を前に進めていくことで、治療のドロップアウトを防ぐようにしています。
「自分には無理」「どうせ良くならない」とお考えになるかもしれませんが、きちんと治療を続けていれば必ず良くなるはずですので、そうしたことをお伝えしてモチベーションの維持・向上をはかっています。
生活習慣病でお悩みの方にお伝えしたいことは?
まずは、健康診断の結果をそのままにしている方がおられますので、放っておかず、きちんと治療を受けていただきたいということ。
そして自己管理・セルフコントロールを意識して生活習慣の改善を続けていれば、時間はかかるかもしれませんが必ず良くなるということ。
当院の生活習慣病の治療では、できるだけお薬の量を減らして、生活習慣の改善を柱として治療を進めております。
あとは、きちんと治療を受け続けていただくことが大前提なのですが、それでも個々の患者様の意思、あるいは生き方を尊重して治療させていただくということです。
場合によっては患者様に、「しっかり治療して長く健康でいるか、好きなようにして長生きできないかのどちらかになりますよ」ということをお話しすることがあります。
そこで「好きなようにする」というのも、それはその人の答え・生き方なので尊重するようにしています。
特にご高齢の方にとって、こうした問いかけは死生観に関わることでもありますので、お一人おひとりと対話を繰り返して、この先どのように治療を進めていくか考えていくようにしています。
ただ、繰り返しになりますが、あくまできちんと治療を受けていただきたいというのが大前提としてあります。
こうしたお話は、勤務医時代には時間に追われてなかなかできませんでした。
「ちゃんと治療しますか?それとも好きなようにしますか?」というような、本音のお話はできず、独立開業してやっとできるようになったことの1つです。
それは患者様お一人おひとりにしっかりと時間をかけられ、“医者と患者”ではなく“人と人”として会話ができるからだと思っています。